テレビ通販のキーマンに聞く 通販番組の最新事情2021

新サービス ordrの発表を記念してテレビ通販業界のキーマンに業界のトレンドや未来について語っていただく特別インタビュー。第一回は、株式会社オークローンマーケティングの代表取締役副社長の青谷宣孝様に、当社の有吉がお話を伺いました。

青谷 宣孝

青谷 宣孝

株式会社オークローンマーケティング
代表取締役副社長

株式会社NTTドコモプロモーション部長としてドコモの全商品のセールスプロモーションを統括。2017年6月、株式会社オークローンマーケティングの代表取締役副社長に就任。

─ 最近の通販業界全体での動向や注目されていることをお聞かせください

青谷:やはり、変化で言うと新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きいと思います。特に2020年4月に緊急事態宣言が発令された時、在宅率が圧倒的に増えて、テレビを中心にメディアの視聴時間が増えました。その影響から恐らくテレビショッピングをはじめ、通販業界は好調であったと思います。

テレビショッピングに関しては、家中需要が高まったことにより、従来ではテレビで通販を行っていなかった新規メーカーの参入が増えました。ここ数年で大手メーカーさんも、商品によっては一部、直販を始めているケースが増えてきています。そういったメーカーが以前は、テレビショッピングで直販することは難しかったのですが、商品を住み分けた上で、特にサプリメントといったシニア層向けの商品は直販の環境が整ってきたように思います。

─ コロナ禍の状況においてテレビショッピングで工夫されたことはありますか?

青谷:面白い取り組みとしては、テレビショッピング番組で、生放送の途中から弊社の社員がリモートで参加して、商品をさらに詳しく説明する、ということをテスト形式的に行いました。こちらが結構、好評で、その時に用意した商品は完売しましたね。

─ なるほど。他にも新しく取り組んでいることについて教えてください。

青谷:実はテストケースでライブショッピングを行っています。タレントさんと社員を組み合わせた演出で、夜の20時くらいから1時間ほどライブ配信をしました。オフィスの一部を利用して、スマートフォンで撮影し配信します。何回かテストしているのですが、こちらは20~30代をターゲットに、テレビショッピングとはセグメントを分けて取り組んでいます。

テレビの29分枠を中心に、700万枚を超える受注

─ 今度は、テレビショッピングについて詳しくお伺いします。主力商品やこれまでの経緯についてお聞かせください。

青谷:トゥルースリーパー・シリーズが主力商品です。マットレスだけでなく、最近ではシリーズとして枕や掛布団を発売しています。トゥルースリーパーは好評をいただいており、2003年の発売から、販売数でいうと累計700万枚を超えています。低反発マットレス市場では、直近の調査ですと7年連続売上No.1を記録しています。

─ 2003年から17年も売っているというのは、すごいロングセラーですね。そんなショップジャパンを運営するオークローンマーケティングに来られる前、青谷さんはNTTドコモのプロモーション部長だったわけですが、番組枠とCMはどのように使い分けているんですか?

青谷:当社は、29分のテレビ通販番組を制作・放送し、電話をかけてもらって受注することがメインです。CMの使い方は、ブランド認知はもちろん、キャンペーンやセール告知、折込チラシとの連動を中心に活用しています。

─ 確かに、年末には折込み連動のCMも見かけました。

青谷:コロナ禍においては皆様、新聞もよくご覧になられているようで、折込チラシの効果がさらに上がりました。朝、家で過ごす時間が増えたからなのか、折込チラシも含めて、隅から隅まで新聞を読まれているようですね。

─ なるほど。他に連動するツールと言えば、QRコードなどがありますが、webとの連動はどのようにお考えでしょうか。

青谷:29分の番組の主な視聴者はシニア層の方々です。そういう方が番組を見て、買おうかどうか迷った時に、番組を視聴した後で新聞広告や折込チラシを見て電話をかけてお申込みになる方が圧倒的に多いですね。QRコードを利用するとなると、購入のハードルが上がってしまいますね。テレビで見て認知をして、商品に興味を抱いた人が、購買に移るプロセスをなるべく簡単に、スムーズにすることが、特にシニア層の方をターゲットとする場合は重要なのかなと思います。

魅力的な商品とお客様が買おうと思うきっかけを作り、背中を押す

─ 通販を行う上で現在、課題に思われていることをお聞かせください。

青谷:通販はテレビ・新聞だけではなく、今後はSNSを通じた通販など、プレーヤーとメディアが多様化していくと思うんですね。5Gなど通信が高度化していくと、家の中のテレビ自体はモニターになって、テレビに映されるコンテンツが、地上波なのかネットなのか、だんだん境目がなくなっていくと思います。そういった意味でいうと、メディアやプレーヤーは進化、多様化していきますね。

逆に商品だけはなかなか多様化するのが難しくて、コモディティ化していったりするんですね。そうなると、通販で大事なのは、多様化、分散化したメディアやプレーヤーの中で、どれだけ他と差別化した商品、お客様に受け入れられる商品を出せるかが、一番の肝だと思っています。

プレーヤーが広がって、メディアが広がって、ある意味流通経路はたくさん出来ますが、実際そこに魅力的な商品がどれだけあるのか?ということが課題だと思います。

─ 商品開発や調達に力をかけようとしていくということでしょうか。

青谷:そうですね。今以上に力をかけようとしています。

─ 確かにインターネットでは商品が何百と溢れていて、知らないメーカーのものも多く、選ぶのが大変ですね。そういう意味ではテレビ通販というのは背中を押してくれる魅力があると思いますが、ネットで多様化・分散化しても、その魅力があれば、テレビ通販はまだまだ強いと思いますか。

青谷:思いますね。通販では商品を見たときに「背中を押される」こと、どのポイントでお客様が「買おう」と思うきっかけをつくれるか、が大事だと思います。我々がよく「WOW(ワオ)」と呼んでいますが、そういう意味では、メディアで商品を見たときに、どれだけWOWと思ってもらえるかということを大切にしています。こんな商品が今これくらいの価格で買える、という興味関心をいかに引くかだと思いますね。

SNSでインフルエンサーを用いてPRを行っているところもありますが、商品を売るところまでもっていくのはなかなか難しく、PRに留まってしまうんですね。

─ 消費者の購買段階において、「興味」から「購買」につなげるツールってなかなかないですよね。

青谷:その力でいうと、テレビショッピングはすごいと思います。だから日本は、まだまだテレビショッピングが活況ですよね。

─ 青谷さんが、NTTドコモからこの業界に来て驚いたことはありますか?

青谷:一番「なるほど」と思ったことは、以前ドコモにいた時に、プロモーションでテレビCMを打つ際、どれだけ認知・興味を引くかで指標を見ることが基本でした。オークローンマーケティングに来てわかったことは、例えば、1万円かけてテレビのショッピング枠を買うことは、わかりやすく言うと、「お祭りの露店を出しているようなもの」だということです。1万円の出展料で売るスペースを確保してそこでものを売る、ということです。1万円でお店を出して、千円儲かったとすると、じゃあ次も出店料を払って「お店を出そう」という考え方であることに衝撃を受けました。毎日、資料やデータを出して、売上はどうか、といったように、365日24時間売れ行きを見ているんですよね。

─ まさに「データドリブン」な業界ですね。その通販業界でも、まだ見えないデータはありますか?

青谷:やはりテレビとネットの購買の連動は、「わかっているようでわかっていない」ですね。テレビを放送してから1週間でECがどのくらい伸びたか見たりしますが、実証していくのは難しいですね。

─ 最後に、当社の新サービス「ordr(オーダー)」をご覧いただいたご感想をお聞かせください。

青谷:率直に、すごく面白いと思いました。特に地方局やBSも含めて、我々が従来、「枠」を買っているところ、競合の出稿状況を含めて、すべてを俯瞰的に見られて一元管理できることがいいなと思いました。

─ 現段階では、検索して今の「枠」の状況が見えるだけなのですが、将来的に「ここ空きそうだよ」という情報まで提供できるようにしたいと思っています。本日は、ありがとうございました。

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